1.最近の研究テーマ
Theme1 堀川と流域の都市整備を対象とした合意形成に関する研究
名古屋都心を流れる堀川の水質改善と沿川のまちづくりに関わる市民、行政、企業、大学研究者等の取組み、意識などを捉え、各関係者は堀川と流域のまちづくりをどのように理解し、どのように政策を選定しようとしているかを解明し、そこから社会的合意形成,諸関係主体が関わっていく場の形成に関する方法論の構築と適用技術の検討を進める。
堀川は江戸時代初期に名古屋の都心に木曽の材木を運ぶ等の目的で開削された名古屋のシンボルともいえる都市河川であるが、特に高度成長期以降、汚水が多く流入し、水源のない感潮河川であるためにヘドロが堆積、悪臭を放っている。現在、堀川を浄化し、流域の活性化をめざす市民、企業、行政、研究者などが協働的に活動している。
Theme2 都市安全のための情報基盤と施設基盤の整備に関する研究
現在の情報通信技術は災害に対して脆弱性を持つ一方、生活や生産活動からの多様なニーズを受けて相乗的に効果を発揮することが期待される。本研究では特に災害時の地域コミュニティでのコミュニケーション機能確保を本位として、情報通信技術と施設整備のバランスがとれた社会基盤整備の方策を求めていく。
数年内に南海トラフ巨大地震が起きるとされる。災害時および災害後に必要なことは何かを事前に熟慮し、そのための仕組みや情報網を整えておくべきである。特定非営利活動法人(NPO)が先頭に立って地域コミュニティのプリペアドネス向上の取組みを進めている。写真はその活動の一環として行われるワークショップの様子である。
Theme3 公共施設管理の効率化(アセットマネジメント)に関する研究
公共施設の維持管理の効率化が重要性を増しているが、「アセットマネジメント」と言われるように施設を資産として認識し、限られた予算の下で機能を保持・向上させていかなければならない。業務効率改善(BPR)の観点から維持管理の業務手順、組織体制の見直し、効果的なデータベースの運用に関する検討を進める。
長期的に効率性を追求するなば構造物の寿命を通じてコストをコントールしなければならない。このために劣化過程と補修の関係を明らかにし、かつ観測を続けなければならない。さらに効率性を追求するために観測業務のあり方についても検討する必要がある。右図のライフサイクルコスト最小化は本テーマの基本問題といえる。